動悸を感じたら
動悸は、緊張や過労・ストレスなどでも起こる、日常的な症状です。このように、心配のないものから、何らかの疾患の症状で起こるものまであります。
特に、安静時に急に動悸が起こる場合は、不安になることも多いと思います。 気になる動悸の症状がある場合は、当院までご相談ください。
動悸の種類
動悸の種類は、大きく以下の3種類に分けられます。
脈が飛ぶ・一瞬鼓動が乱れる・胸が詰まる
脈が不規則に1回飛んだように感じます。これは、良性の不整脈で多くの場合は、健康な人にも起こります。脈が飛ぶような動悸が長く続く場合は、何らかの疾患がある可能性があります。
ドキドキを強く感じる・鼓動が耳につく
過度の緊張やストレスなどの影響で、自律神経バランスが不安定になっている時に起こります。不安を感じてしまう動悸のため、気になる場合は医療機関を受診してください。また、睡眠不足やカフェインの過剰摂取などが原因となることもあります。
心拍が速い・鼓動が激しくなる
心拍が速くなる動悸は、何らかの疾患が隠れていると考えられます。循環器疾患以外でも、心拍が速くなる動悸が起こることがあるため、医療機関の受診が必要です。
動悸を起こす主な疾患
循環器疾患
動悸の症状がある場合は、不整脈や心不全が起こっている可能性があります。
①不整脈
脈が速くなる症状の不整脈は、発作性心房細動・発作性上室性頻拍などが考えられます。発作性心房細動は、そのまま放置すると心不全や脳梗塞を起こすことがあるため、早めの治療が必要です。主に、高血圧・糖尿病・加齢・飲酒・睡眠不足・運動不足などが原因となります。
発作性上室性頻拍は、急激に心拍数が増えることで低血圧となり、ふらつくことがあります。通常の脈が1分に60~90回のところ、突然150~200回ぐらいに増えてしまいます。
②心不全
心臓機能が低下して、酸素をうまく運べなくなっている状態を心不全と言います。これを補うために心拍数を上げることで、動悸の症状を起こします。主に、食欲不振・倦怠感・足の浮腫みなどの症状が現れ、病気が進行すると息苦しさを感じるようになります。心不全を起こす疾患は、重篤な疾患であることが多いため、気になる動悸症状がある場合は、専門の循環器科を受診してください。
循環器疾患以外の原因
循環器疾患以外では、甲状腺機能亢進症・貧血・糖尿病(低血糖)・呼吸器疾患・脱水症状、内服薬の副作用などによって、動悸症状が現れます。
①甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて発症します。心臓に大きな負担がかかる病気で、動悸や不整脈を起こすことがあります。女性に多く見られる疾患で、動悸症状の他に手の震えや多汗・疲労感・体重減少などの症状が現れます。首周辺を触れて甲状腺の腫れで気付くこともあります。甲状腺機能亢進症は、様々なつらい症状が現れます。気になる症状がある場合は、早めに当院までご相談ください。
②貧血
貧血によって酸素が運ばれる量が減ることから、酸素不足を補うために心拍数を増やします。これが動悸となって現れます。特に、運動などの際に強い動悸が起こります。
③低血糖
低血糖になると、動悸症状のほかに冷や汗やふらつきなどの症状が起こるため、大変危険です。特に、糖尿病の治療薬の服用やインスリン注射などで血糖値の下がりすぎなどが原因となります。低血糖になりそうな場合は、ブドウ糖をすぐに摂取すると、低血糖発作を予防することができます。このため、糖尿病の治療を行っている場合は、処方薬の服用のタイミングや食事などについて、主治医の指示に従って行うようにしてください。
動悸がある場合に行う検査
心電図検査
不整脈を調べます。特定される時間の心電図検査では分からない場合は、24時間記録できるホルター心電図検査を実施することもあります。
心エコー検査(超音波検査)
心臓機能の低下によって不整脈が起きていないかを調べます。心エコー検査では、心臓を詳細に検査できます。
胸部X線検査
心拡大や肺うっ血、胸水の有無を調べます。心不全が疑われる場合は、X線検査などで適切な治療を見極めます。
血液検査
循環器疾患のほか、血糖状態・甲状腺疾患・貧血などを調べます。
最近では、BNPやproBNPといった脳性ナトリウム利尿ペプチド値にて、心臓の負担の程度がわかります。
動悸がある場合の受診について
動悸は、健康な人でも起こる日常的な症状です。ただし、中には重篤な循環器疾患が原因となっている場合があるため、気になる動悸がある場合は、循環器内科を受診してください。また、心臓以外の疾患によって動悸が起こることもあります。なお、動悸以外の症状が伴う場合は、速やかに循環器内科を受診してください。